心からの
「ありがとう」を
追い求める
INTERVIEW
ルッソクラブ 味処
岩﨑詩織
常に頭はフル回転
ご注文いただいたお料理やお飲み物をお客様にお届けする。
私たちの接客は、そんな単純なものではありません。ご家族で来られたので、皆さまで召し上がれるように大皿に入れてお出ししよう。お取引先様との大事なお食事なので、先に取り分けてお手間のかからない状態でお出ししよう。以前煮付けがお好きとおっしゃっていたので、仕入れた魚の種類を確認しておこう。お客様のご来店目的やお好みに合わせてベストな方法を考え、その場にあった接客をしています。かくいう私も、昔は何も考えず、ただ料理を運ぶことしかできませんでした。私を変えてくれたのは、親しくさせていただいているお客様に教わった「常に頭を働かせる」という言葉。お客様の動作、目線、表情を隙なく観察し、次に何を望まれるか想像する。ご来店くださった一人ひとりに満足してお帰りいただけるよう、常にお客様に寄り添い、行き届いたおもてなしを考え続けたいと思っています。
お客様を思う気持ちが、
自己研鑽に繋がる
美味しいものをご提供するのはもちろんですが、お薦めの仕方も大事だと思っています。例えば「次にお持ちするお刺身には、こちらの熱燗が合いますよ」とお声がけすることで、迷わず快適にお料理を楽しんでいただけます。そのために必要不可欠なのが、お料理やお酒の知識。特に私は日本酒に力を入れています。蔵元の歴史やネーミングの背景、お酒に込められた想いを直接お聞きしたり、資料を読んで勉強したり、実際に飲んでどんなお料理と合うかを研究したり。自分で学んで知識を広げたからこそ、お薦めする時にも気持ちが入るんです。こうして自己研鑽を惜しまないのも、お客様に喜んでいただくことで、「また来るね」と次に繋がっていくことにやりがいを感じているからだと思います。単に提供してくれて「ありがとう」ではなく、今日は楽しくて満足のいく時間を「ありがとう」。その一言が聞きたくて、私は仕事をしています。
ある一日のスケジュール
- 13:00
- 出勤、お客様にお送りする
季節商品のご案内作成 - 15:00
- 昼食後、着物に着替える
- 16:00
- 開店前準備
- 17:00
- 営業開始、接客
- 23:00
- 営業終了、片付け、退勤
私の「色」
和歌山に転勤される方の送別会にと、ご予約をいただきました。「広島でも和歌山のお酒を飲みました」と話のきっかけになればという思いで、和歌山の日本酒を何本か仕入れて、スタッフみんなで試飲できる場を作ったんです。当日は無事盛況。ラベルの写真を撮ったり、「今日のことを話して、転勤先の人たちとも早く仲良くなれたらいいなと思います」とワクワクしながら帰られました。日本酒を勉強してきたからこそ思いついたアイデアで、喜んでいただくことができたと思います。